ラボラトリーJt

 小さな実験研究室の内装設計。これまでに、さまざまな研究室の改修プロジェクトで試みてきた設計を総合している。居室と実験室の各エリアに必要十分な機能を整理し、小さな空間全体が一室として感じられるようにガラス間仕切りのおさまりと、連続的な照明計画を工夫している。また、各コーナーに必要な性能を満たす材質を、内装と什器・家具を横断しながらグラデーショナルにレイアウトし、室内環境を、窓の外の光と風景にも接続する「ランドスケープ」のようなあり方として設計した。
 開発してきた視認性の高い局所排気装置を含め、居室の机・棚、実験室の実験台・機器棚など、内装全体を「ユニット」のレイアウトで構成している。ユニットはそれぞれのコーナーの実験研究活動の機能を満たすカタチとサイズに設計しつつも、連続的な活動と風景となるようにモジュールを整理して整列させている。それぞれのユニットを構成する材質は、人の手に触れた時の心地良さや作業のしやすさから、実験で扱う特殊な溶剤に対する耐性やメンテナンス性まで、それぞれに対応した製品・材料・塗料などを吟味し割り当てている。
 研究者たちは一日中この小さな部屋で過ごすことになるため、廊下や窓の外の空間への視覚的な連続性を高めている。机の天板は光沢のある仕上げとし風景を写し込むことと、床仕上げを外部的な土間とすることで、窓の外の環境をひきこむことを意図している。実験室と居室をを仕切るガラス間仕切りの扉は、既存建物の入り口戸のデザインを転写することで、なるべく室内外とも連続した広がりを感じられるように配慮した。

居室の机・棚、実験室の実験台・機器棚などの「ユニット」とそのレイアウト。性能のグラデーションなレイアウトよる室内の「ランドスケープ」のような設計。

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躯体構造:RC造
所在地:東京都目黒区
主要用途:実験研究施設
延べ床面積:80㎡
設計期間:2016年10月〜2016年12月
施工期間:2017年1月〜2017年3月

設計監理:市川竜吾・望月公紀・山口奈月/建築築事務所
照明設計:杉尾篤/杉尾篤照明設計事務所
施工:熊谷良/関川建設
設備:田口耕嗣/田口工業
電気:吉川耕司/吉川電機工業所
家具:石岡鉄平/アングロ
什器:大橋慎太郎・安東純寿・三浦忠徳/三進金属工業
局所排気設備:大橋慎太郎・安東純寿・三浦忠徳/三進金属工業
写真:高木康広