ラボラトリーMn

 有機溶媒用の局所排気装置「ドラフトチャンバー」を何台も置く必要のある実験室では、配管が天井を這い、空間を無秩序にしてしまう。この研究室には、中庭に面した設備バルコニーがあったため、排気装置を窓際に平行に設置。通常は窓を塞いでしまうために敬遠されがちだが、ほぼ全面ガラス張りのものを採用することで、採光を確保しつつ、排気設備に付随する配管経路を可能な限り短くした。なおかつ、装置を平行にしたことで、デスクワークルームと実験室とが相互に見通せる軸線を確保するという目的も達成している。
 給気ダクトは梁を横断する形で長手中央に配置。天井面に吹き上げることで局所排気装置におだやかに排気を促している。照明はタスク照明とし、作業環境のみを効率良く照らした。反射光も無駄にしないよう、天井設備をシルバー素材で覆い、通路面にも光が行き渡るように配慮した。照明から配管、配線ボックスを個別に作業面に下ろす工夫もしている。膨大な量のガラス器具の管理方法として、器具が転がらないような棚を新たに設計し、器具の位置を見える化し効率良く管理できるようにした。

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躯体構造:RC造
所在地:京都府宇治市
主要用途:実験研究施設
延べ床面積:170㎡
設計期間:2015年6月〜2015年9月
施工期間:2015年10月〜2016年1月

設計監理:市川竜吾・望月公紀/建築築事務所
照明設計:岡安泉/岡安泉照明設計事務所
施工:井上義昭/井上建設
設備:伊藤仁/シンテック
電気:奥田俊文/新日本設備計画
家具・什器:森脇建夫・大橋慎太郎・泉利明/三進金属工業
実験設備:大橋慎太郎・泉利明・仁科隆文/三進金属工業
写真:太田拓実