ナミワケ荘(霞目キャンパス)

福祉と地域をつなぐ出張所
 施主である社会福祉法人は、まちをまるごと「学び舎」と捉えて、老人福祉施設の整備とさまざまなサービスの提供と、地域活動の運営を行なっている。まちの様々な登場人物と、施設に入居されているお年寄りの持つスキルや経験からの学びを通して、福祉事業に加えて、身近な文化活動を創出している。ここでは、福祉事業に地域を迎え入れるだけではなく、福祉とつながった文化活動が地域へと出張し、福祉が生活風景の中におのずと位置づけ直されることを目指している。

 この建築は、地域と福祉をつなぐ柔らかなメディアとしての役割を持ち、地域にある学びの種と様々な資源を、掘り起こしつなげる場となるようにつくりたい。1階は、食堂・工房・ギャラリーで、就労相談支援センターの機能を併設して、就労支援事業の場としても重ね合わせて使われる。軒先は、法人が運営する畑などから集められた、野菜を販売する直売所としても使われる予定で、隣接するバス停の待合スペースとしても使って欲しい。2階は5部屋からなる法人スタッフのための寮で、吹き抜け空間を介して1階と気配のやりとりが交わされる。寮は主に、外国人研修スタッフが生活する場として、1階での活動と連携して住まわれる予定だ。

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主要構造:木造
所在地:宮城県仙台市
主要用途:複合用途(寄宿舎・飲食店・就労支援)
敷地面積:305.7㎡
建築面積:156.0㎡
延べ床面積:229.9㎡
設計期間:2021年3月〜2022年3月(中断期間を含む)
施工期間:2022年8月〜2023年3月

基本設計:冨永美保・林恭正・柳沢優志・市川竜吾/トミトアーキテクチャ
実施設計:冨永美保・市川竜吾・林恭正・柳沢優志/トミトアーキテクチャ
工事監理:市川竜吾・柳沢優志/トミトアーキテクチャ
構造設計:鈴木芳典・鶴田翔/TECTONICA INC.
設備監修:山下直久/comodo設備計画
施工:八鍬英幸・菱沼真紀夫/ジャパンビルド株式会社
躯体:小柴剛・鈴木祥晃/株式会社ユニホー
家具:島貫友英/クラスコファニチヤー-