大きな風景をつくる

 多摩ニュータウンの計画研究とフィールドワークの成果をまとめた小冊子。首都大学東京での「都市空間プランニング実習」の5年間(わたしは担当助教として2017からの3年間)の学びを、7つの教え・5つのエリアに分けたまちあるきマップ・6つの基礎知識に、簡潔にまとめた。
 講座は、日本住宅公団で多摩ニュータウン建設当時に設計に携わられた都市プランナーの成瀬惠宏さん、住居学の松本真澄さん、都市研究の田中暁子さん、都市計画の饗庭伸さん、建築設計のわたしとで、学生と皆で計画をひも解いた。ニュータウンのフィールドワークに加えて、毎年3人招聘するゲストレクチャーと地域発表会の公開シンポジウムを加えた授業プログラムを行った。
 今は見えにくくなっている1960年代からのニュータウンの建築家たちの空間的な試みと設計思想が浮かび上がり、日本の集合住宅史において果たした役割を再考できるのではないかという気づきを得た。当時の計画者たちが、ニュータウン建設にかたむけた膨大な熱量と試行錯誤の一端に触れるところからも、大きな都市計画が無くなった現代の日本から逆照射される知恵と技術を多く発見することできた。学びのエッセンスから、多摩ニュータウンの全体像とこれからの可能性を、平易な文章で示している。

 冊子デザインは飯田将平さん、イラストは矢田朋未さんにお願いをした。装丁は、グリーンとピンクのリソグラフ(2色刷り)と表紙の立体印刷でそっと手とって触れてみたくなるデザインとした。まちあるきマップとしてニュータウン散策に使ってもらえるように、持ち歩きやすいB5サイズになっている。

Credit

冊子名:大きな風景をつくる 多摩ニュータウン
サイズ:B5
頁数:32
作成:2019年12月〜2020年3月
発行:2020年3月30日
発行所:東京都立大学 饗庭研究室

執筆:饗庭伸・松本真澄・田中暁子・市川竜吾
編集:市川竜吾
執筆協力:成瀬惠宏・武岡暢・小泉瑛一
情報提供:大石武朗・山本忠夫・大久保隆行・藤本昌也・山本理・ 北嶋祥浩・山田正司
デザイン:飯田将平・下岡由希
イラスト:矢田朋未
印刷・製本:株式会社JAM

講座:都市プランニング実習
担当教員:饗庭伸・市川竜吾・武岡暢・小泉瑛一
非常勤講師:成瀬惠宏・田中暁子
特別講師:松本真澄
レクチャー:大石武朗・山本忠夫・大久保隆行・藤本昌也・山本理・北嶋祥浩・山田正司・阿部順子・飯島武彦・金野千恵
実施期間:2015年4月〜2020年3月
協力:多摩市役所・八王子市役所・パルテノン多摩
寄付:東京都都市づくり公社

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